にんげんなので。

ウェブエンジニアな26歳が、日々の感じたことをゆるく書くブログ

ゼロから考えるということ

このブログで仕事のことは書かないつもりでいたけど、やっぱり仕事も含めて人生。今日に感じて、今日しか書けないことを、いま書いておこう、と思う。

大学を卒業してから丸4年、プログラミングという形で、ものを作る仕事をしている。
ずっと手を掛けているサービスは、本当にまだなんにもないってところから関わることができて、かれこれ3年ほど、少しずつ少しずつ自分たちの手で育て上げてきた。

それだけの年月を積み上げていれば、当然のように新しいコードと古いコードがある。新しいコードを山のように生み出すときもあれば、古いコードをばっさりと捨てるときもある。

ときには、二つのシステムを一つに統合したこともあったし、ときには、ほとんどテストコードのないシステムでカバレッジが100%になるまでテストコードを書き、大胆にリファクタリングしたこともあった。

半年あればがらりと変わってしまうビジネスの波に、新たに乗っかってきたものと取り残されてしまうもの。その狭間で、常に悩みながら仕事をしてる。

それだけやっていても、まだまだいくらでも難しいことばかりで、私のような軟弱者は滅入ってしまう。それでも、優秀なチームメンバーと一緒に立ち向かっていくことができて、たくさんのことを学んで、たくさんのことができるようになった。

その一つとして、「ゼロから考える」ことの大切さと面白さを感じたので、書いていきたい。

ゼロから考える

いまある物事を良くするためには、一度ゼロから考えてみる。いまあるものから離れて、頭を空っぽにして、いま初めて出会ったような気持ちで、物事を捉え直してみる。

これを教えてくれたチームメンバーは、大胆な改善に取り掛かるとき、いまあるコードをすべてコメントアウトしてしまう。あるいは、ファイルごと消してしまったり、置きっ放しにしてまっさらな別のファイルを作ってしまったりする。そして、同じ物事を新しい概念、名称、構造、インターフェースで、どんどん書き起こしていく。

ゼロから考えるには、勇気も自信も力も必要だなぁと思う。今まで作り上げてきたものを、まっさらにするのは勇気がいる。多くのことをゼロに戻せば戻すほど、今の地点まで作り直すのは大変だ。書こうと思えば同じものがすぐ書ける、という自信と実力もいる。
でも、ゼロに戻す勇気があれば、ある程度の自信と実力があれば、いまよりもっと良いものが作れる。

もちろん他にも、重要な物事を見極める視点、何をどこまで戻すかの塩梅、同じ物事を新しく捉え直せるアイディアの引き出し、素早く書いて素早く試すテクニック、新しく捉え直した物事を評価する判断軸、なんて必要なものは言い出したら止まらない。

何年もやっているはずなのに、まだまだ私はできないことばかりだ。今日もチャレンジして、やっぱりまだまだ、目の前にあるコードに引きずられてしまってる。付け焼き刃のような解決策をあれこれ試して、さほど変わらなかったり。やればやるほど悩みが掘り出されて、一つ一つ解決すればいいのに同時に手を付けて、いつの間にか手に負えなくなっていたり。

でも少なくとも、ただ動くのを目指すのではなくて、少し立ち止まって物事を見つめ直すことだけは、できるようになってきた。と思う。

焦らなければ、面白くなる

私はかなりの長い間、「まだまだ私はできないから頑張らなきゃ」「早く結果を出さなきゃ」「手を動かなきゃ、頭を動かさなきゃ」って焦る気持ちで仕事をしてた。とにかく動くものを早く仕上げたい。すぐ目に見える結果がほしい。だから難しい問題はなるべく避けたい。気づけば、そんな気持ちになりがちだったなぁと思う。

焦ることをやめてから、じっくり腰を据えて取り掛かれるようになった。ゼロから考えると時間がかかるけど、たくさん悩んで、たくさん試行錯誤して、納得のいくものまで仕上げて、チームメンバーに「これでどうだ」と見せられる。その過程の面白さも、ようやくわかるようになってきた。

仕事も日常も同じだった

今日感じたことはここまでなんだけれど。こうして書いてみると、こういうのってウェブエンジニアだからどうとか、プログラミングだからどうとか、関係なく言えることもあるんじゃないかなぁと思う。

いまある日常、生活、習慣、モノ、家事、勉強だとか、まあ何でもいいのだけれど。ちょっと離れてみて、頭を空っぽにして、いま初めて出会ったような気持ちで、ゼロから考えてみたらどうだろう。

思い返せば心当たりもある。例えば、いつも当たり前のように洗面台に置いていたコップ。しばらく洗わずにいたらピンク汚れが付いてしまった。もしかして無くても困らないんじゃないかと思って、この1週間は片付けてみたら、なかなかよかった。水は手で掬えば事足りるとわかったし、コップの汚れを気にかけることもないし、洗面台の見栄えもすっきりした。

いまあるものをゼロから考える。そういえば私は同じやり方で、大きな本棚を撤去したり、ルンバを買って掃除機を捨てたり、行き場のない携帯ゲーム機をトートバッグに入れて吊るしたりしていた。
しょうもないかもしれないけれど、そんな試行錯誤に溢れた日々は、面白い。

仕事だけじゃなく家事も勉強も、「頑張らなきゃ」「やらなきゃ」って思いがちだけど、たぶん思わなくていい。もちろん思ってもいいし、つい思っちゃうけど。
でもあるとき立ち止まって、ゼロに戻してみる。ゼロに戻ったものを見つめる時間と心を持ってみると、何か変わるかもしれない。